2016年地域おこし協力隊となったことを機に和水町に移住。3年間の活動のあと結婚し、2021年には和水町に新居を建設。お子さんも生まれ、自宅で仕事をしながら楽しく子育て中。
原風景求めて孫ターン ~「やり切った感」のその後に~
―――皆川さんが移住されたきっかけを教えてください
玉名で生まれ育って、東京で10年くらい仕事をしていたんですが、30歳になる年に「やり切った」との思いが強くなって・・職場にも恵まれて、友人もいっぱいいたんですけど、50歳とか80歳とかになった時に東京にいるイメージが湧かなかったんですね。皺くちゃのお婆さんになった時のことを想像してみて、しっくりとする風景がまさに和水町だったんですよ。祖父母に連れられて散歩したこのあたりの風景が浮かんだことが帰ろうと思ったきっかけですね。
―――では、東京から和水町に直接戻られたんですか
仕事も決めずに帰ってきたので、いったん玉名市の実家に戻りました。熊本での生活になじんだタイミングで和水町に移ってやろうと考えていたんですが、仲良くなった和水町の方から地域おこし協力隊のことを聞いたことが、移住した直接のきっかけですね。下調べ不足でダメだったというふうにはしたくなかったので、しっかり考える時間が持てたことはよかったと思います。
WEBと宅配便があれば何でもできる ~2本立ての起業~
―――地域おこし協力隊ではどんな仕事をしていたんですか
移住相談会への参加のほか、地域づくり団体の事務局として「大豆コーヒー」の商談会や物販イベントにも参加していました。その当時の人とのつながりや仕事が今につながっている感じですね。実はその大豆コーヒー、いま私が販売元となっているんですよ。
―――起業されたんですか
プチ起業ですね。このコーヒーはイベントでの販売が売上として大きかったんですが、協力隊卒業後すぐにコロナになっちゃって、イベントが全部なくなったんですよ。正直これ1本で起業していたら多分ダメだったと思います。これとは別にチラシやポスターのデザインをパソコン上で制作する仕事も手掛けていて、2本立てだったから何とかなっているという感じですね。移住する方全員が起業できるわけではないですけど、人とのつながりやきっかけがあれば、場所は関係ないと思います。パソコンとインターネットの環境、それに宅配便があれば、どこでも同じでことができるわけですから・・・
交通至便・アクセス良好。町内で完結はしないけれど・・・
―――生活していく上での周辺の環境などについてはどうですか
まず、交通の便に関しては本当に良いと思います。福岡までは1時間弱。空港にしても福岡、熊本だけでなく、佐賀空港までも1時間半くらいで行けちゃえます。関西へは、新玉名駅から新幹線に乗れば3時間ちょっと。日帰りも可能ですよね。とりわけ福岡まで近いというのが強みです。夫も福岡で働いていますが、仕事を探す範囲が熊本県だけではないので選択肢が広がります。ただ、和水町内ですべて完結するかと言えばそうではないですね。人口も少ないからですね。医療や教育に関して言えば、周辺の自治体と地域連携しているので、和水町に住んでいて格差を感じるということはないですね。
程よく気にしてくれて、程よくほっといてくれる町
―――今では、定住されていますが、決め手は何だったんですか
やっぱり人ですかね。程よく気にしてくれて、程よくほっといてくれる感じが丁度良いんです。それと困った時に助けてくれる人が絶対いるなと思います。地域ごとに得意分野を持った人がいて、それがわかるくらいの顔見知り感。それが嫌という人もいるでしょうけど、私は良いと思ったんです。みんなで生きているって感じで。それと・・この辺の中学生は「おはようございます」「さよなら」って挨拶してくれるんですよ。全然知らないのに。「忘れていたなこういう気持ち、できればこういうところで子どもを産んで、こういう子に育ってほしいな」と強く思いましたね。